「レヴィアは生まれながらにして声が出なかったらしい。何かの弾みで出るようになったら、と期待を込めてたまたま隣に住んでいた僕に会いに来たのが始まり。遊んでいてもレヴィアが声を出すことはなかったけど、楽しそうにはしてくれた。笑顔になった時、少しだけ僕を呼ぶ「、ぃ」という声が出た時は涙が出た。本当に嬉しかったんだ。…そして僕は昔から身体が弱くてね、よく熱を出しては寝込んでた。その時傍にいつもいてくれるのは両親じゃなくてレヴィアだった。声が出なくてもずっと手を握ってくれていた。大丈夫、私がそばにいるって思いが何となく、通じてた」

「そんな中…、僕の父親とレヴィアの母親が不倫した。いや、その前に…。僕の父親がレヴィアを襲いかけた。僕が必死になって止めたけど、それからはもう何もかも早かった。レヴィアは軽い男性恐怖症になったし、それに怒った互いの両親も僕らを孤児院に押付けて消えた。理由は「お前らを見てると思い出す」って。まあ、僕の父親がこの髪の色で、レヴィアのお母さんがあのピンクの髪の色だったから…。言いたいことは何となくわかるけどね。そのまま僕らはペニーウォートに来てユウゴ達と会った。AGEになったことで僕らの身体も不思議なことに癒えて丈夫になって、あとは知っての通り。まあそういうことで、僕とレヴィアはなんとなくそんな仲ではないし、そういう風にも見れない。というか、レヴィアが嫌がると思う。僕もなんか、違うなって思う」

「……悪い」

「謝ることはないよ。けど、これ僕が話したって言わないでね。レヴィアはきっと、話すとしてもユウゴには自分で話したいと思うよ」

「わかった。約束する」

「うん。ありがとう。…てか、覚えてる?レヴィアが1番初めに話した言葉って、『ユウゴ』だよ?」

「え?」

「適合試験の数日後、話せるようになった時にユウゴって呟いたんだ。僕隣にいたのにさ、なんで僕じゃないの!?って思わず言ったら笑ってた。リコ、ありがとうってまだ掠れてる声で沢山笑って、その後沢山咳き込んだ。馬鹿だよね。もう喋らないでって言っても何度も自分の声を確認してた。そしてユウゴ、ジーク、キース、みんなの名前を沢山呼んでた。その日は今までの中で一番嬉しそうで、ここに来てよかったって話してたんだよ。僕ら売られたのに」

「……」

「でもその笑顔を見て僕も思った。ここへ来てよかったって。レヴィアと一緒にユウゴ達と会えてよかったって思えた。血は繋がってないけど、家族と呼べるようになる人達と出会えてよかったって。そしてレヴィアはあんなに強くなった。僕がもう隣にいなくなってきっと歩いていける。けど、僕はそれでも心配なんだ。だからさ、ユウゴ」

「なんだ」

「レヴィアのこと、よろしくね」

「…ああ」